BOPビジネス論の出発点

 この時期、卒論や修論でBOPビジネスをテーマに書きたいという問い合わせが結構あります。そこで、押さえるべき基本のポイントを一つ。BOPビジネスには、ビジネス・サイドからと、開発サイドからのアプローチがあって、自分はどちらの立場に立っているのかを始めに明確にすることです。これまでは、ビジネス論者と開発論者が同じテーマに関心を持つことなどなくて、BOPビジネスというテーマの下で、初めて両者の対話が行われ始めたという段階です。両者にかけるブリッジを模索し始めたという状況ですから、学際的な研究が必要で、まだまだ研究はこれからです。
 簡潔に述べると、ビジネス・サイドのスタンスは「利益をあげつつ、社会課題を解決する」ということであり、他方、開発サイドのスタンスは「社会課題を解決するために、利益をあげる」ということで、本来両者の目的は相いれず同床異夢なのです。
 しかし、BOPビジネスもビジネスである以上、ビジネスの論理で動いており、ビジネス論のフレームワークや理論で考えなければ、単なる規範的な「あるべき論」に終わってしまいます。特に開発論をバッググランドとする人はこの点への注意が必要です。いくら、こうあるべきだと、声高にさけんでも実際のプレーヤーである企業には相手にされないのです。学生の時には、理論をしっかり学んでおくことが、その後の大きな飛躍のためには不可欠。経営学、特に国際ビジネス論の領域の知識をしっかりと学んでおくことをお勧めします。