時間を厳守して明確なキーワードを使って客観的に話そう

 先週末、水道橋の日大で開催された学会で研究報告をさせていただきました。とっても勉強になる有り難い機会でした。まったく知らなかった中央アジアのことや上海経済協力機構についての報告があって、新しい知識が吸収できました。それとは別に勉強になったことが3点あります。(1)時間を厳守して、(2)明確なキーワードを使って、(3)客観的に話すということです。
 この学会は5時が終了予定時刻でしたが、だらだらと1時間も長引いて6時に終了。熱心だから時間が延びいたと良く解釈することも出来るのですが、やはり始めから時間が分かっているので、その中で完結することが大切。集中して密度を濃くして予定時刻前に終了すると評価されますが、その逆に時間が延びた場合、熱心だねと評価されることは決してありません。時間厳守できないってのは、マイナスの評価しかありません。
 大学の先生方は話すことのプロのはずですが、実際にはそうでもないんですよね。話しがだらだらしていて、何を言いたいのかが不明瞭。つまり、キーワードやキーメッセージを明確に意識してしゃべっていないのです。話している本人が、それらを意識していないのですから、聞いているほうが理解できないのは当たり前です。理解してもらうためには、具体的に明瞭に論理的に自分のメッセージを伝えることが大切です。
 その上で、他の人に納得してもらうためには、客観的事実の積み上げが必要です。つまり自己満足的なスピーチならば、主観的(〜と思う)であってもいいのですが、自分の主張を述べて、聞き手を納得させるためには、客観的(事実は〜だ)でなければならないのです。客観的事実を論理的に積み上げることによってのみ、相手は、なるほどと理解してくれます。「私はこう思う」という類の話し方は、主観的な自己満足の世界です。
 いまは卒業式のシーズン。きれいに着飾った女子学生の姿はまぶしいですね。どこの大学でも学長が、卒業生を相手に格調高く祝辞を述べていることと思います。でも、おおくは自己満足型のウンチクを並べ立てているだけで、聞いているほうにすると、とっても退屈なんだよね。事実は、聞いた後で何にも残っていないってのが大体のケースですよね。つまり、だらだらと時間が長く、明確で具体的なキーワードがない上に、主観的だということです。
 この反対は、短い時間で簡潔に、明確なキーワードで具体的なキーメッセージを伝え、客観的事実に基づいた話しになっているならば、聞き手の頭に残る素晴らしいスピーチになるんだと思います。だらだらと長くて一体何が言いたいのかが分からない御高説に付き合わされている学生にとって、忍耐力はつくでしょうね。忍耐力はすごく大切。でもそれだけじゃ、世界では通用しないからね。