30年後、40年後の世界で活躍するために

Seattle2007-12-03


 息子が誕生日を迎えて、自分でケーキを作りました(もちろんかなり手伝っているけどね)。杏林大学病院で彼がこの世に出てきた瞬間に立ち会っていましたので、その時のことを思い出し、時のたつ早さに驚きです。と同時に、ここまで育つために、たくさんの方々に支えていただいたことに感謝で一杯です。
人は一般的には、40歳代から60歳代くらいにかけて最も活躍し、社会に貢献できると思います。その前後は、社会に養ってもらってるようなもんでしょう。ということで、息子が最も活躍するであろう30年後、40年後くらいの世界はどうなっているのだろうと考えました。一体どんな日本、どんな世界になっているんでしょうかね、それを考えると、ワクワクしますね。
 その時に社会の役に立てるための能力とは何かを明確にして、その基本的な資質を幼い頃に身につけさせてあげることは親としての責務だと思います。それは「地球上のどこでも生きていける能力」だと思います。グローバル化とIT化はますます進み、実質的な世界はさらに狭くなっていることでしょう。そして日本は繁栄期から衰退期に入っていることは、ほぼ間違いないでしょう。
 そこで具体的には、第一に、なんといっても「広い視野」が大切だと思います。日本の中だけ、自分の生まれ故郷だけ、といったような小さな世界しか見ていないような視野の狭い「島国根性」は通用しません。地球的視野をもたせるためには、世界がどういうふうにつながっていてお互いが生かされているかを、日常の会話の中に入れる。CNNやBBCを見せるようにして、いつも世界の出来事に触れさせて関心を持たせる。寝る前に世界の地図を一緒に見て、色々な国の話を聞か、世界各地をすぐにイメージできるようにさせる。そして、なるべく多くの外国に連れて行き、好奇心、行動力、挑戦心を磨く。これらを心がける必要があると思います。
 第二に、「協調、融和の心」が大切です。実質的に世界が狭くなり「地球村化」していくと、なんといっても多様性と触れる機会が多くなり、そのぶん争いも増えるでしょう。その時に大切なのは、協調の精神であり、融和の精神です。これは東洋思想の根底にあり、われわれアジア人には好都合です。西洋的な善悪、敵味方をはっきりと分けるというような思考方法は必ず行き詰るでしょう。聖徳太子に始まる日本古来の仏教的な「和」の精神を、しっかりと心の中心に持たせることが大切だと思います。私の大好きなユダヤの格言は、「争いに勝つ方法は、争いをしないこと」です。日本古来の精神性の高さはすごいので、「道」がつく日本の伝統武芸(剣道、柔道、空手道、華道、茶道etc)を最低一つはやっとくと良いでしょうね。
 第三は、テクニカルな面になります。われわれ日本人にはとっても残念なことですが、40年後、50年後の世界のメジャー言語は、英語と中国語でしょう。この二つを身につけることは必須です。単に言葉だけではなくて、その言語の核になっている思考様式や論理構成の違いを理解していないといけません。しかし外国語が大切だからといって、小さな頃からどこかに習わせに連れて行っても親の気休めにしかならないでしょう。やっぱりこれは、日々の積み重ねが大切であり、それをするには家庭が基本になるんだよね。小さな一歩(大きくてはいけない)を継続できる姿勢をしっかりと身につけさせる必要があるんだよね。