借金地獄の政府が最後に狙うのは個人の懐

 法人税の実効税率の見直しが政府での議論の対象になろうとしています。これはどういうことかというと、日本の法人税率を現行の約40%から30%くらいまで下げようということです。
 現在の日本の40%に比べて、フランスや中国は33%、イギリスは30%、韓国は27%です。つまり、日本で企業が100万円の利益を計上すると40万円を税金として納めなければなりませんが、韓国では27万円で済むということです。その差13万円。こうなると、企業の経営者なら誰だって韓国に会社を移して、そこで利益を出したほうが良いと考えるのは当然ですよね。
 こうなると日本からどんどん外国へ企業が出て行くということになります(実際には法人税率の違いだけが原因にはなりませんが)。そこで、当然日本の産業界は法人税率の引き下げを要求するわけです。
 そこで現在の実効税率を30%まで下げたとすると、4兆円以上の法人税の減収となり、それを補うためには、個人から税金を取らなければならず、消費税率にすると2%のアップが必要になります。
 国は自分でビジネスをしていませんから、収入は税金以外になく、その税金は個人から取るか、企業から取るかの二つの方法しかありません。グローバル化の進展で、企業はますます国境を超えるようになると、最後まで国の中に残っていてくれて税金のとりっぱぐれがないのは個人ということになります。
 結局、膨大な借金を抱えて破産寸前にある日本の国家財政を補填するための最も当てになる懐は、企業に勤めていて収入がすべてガラス張り状態で把握されている会社員ということになります。一生懸命働いて税金を納めても、役人に無駄遣いされていては、まったく正直に収める気になれません。しかし、これは仕方がないことです。だれでも自分の金以外は、使い方を真剣に考えることをしないからです。
 例えば、自腹でパソコンを買うときは、一円でも安いところから買おうとあれこれと比較しますが、会社の金で買うときは、そんなこともせず適当に発注します。自分の金ではないので、少しぐらい高かろうが安かろうが関係ないからです。
 自腹で本を買うときは厳選して本を買いますが、研究費を使い切るために買うときは以前に注文したことを忘れて、適当に注文し、同じ本が2冊届くってことも珍しくありません。まあ、このように他人の金は無駄に使われるってことは、避けることの出来ない真理です。つまり、税金の無駄使いは永久になくならないって事です。
 ならば、これに腹を立ててもしかたがありませんので、どうやったら納める税金を少なく出来るかを考えるしかないのです。合法的な答えは3つ。会社をつくって経費で落としまくる。転出届を出して、1月1日に外国にいる。日本を見捨てて税金の安い外国で暮らす。