この国には何でもある、ただ希望だけがない

 昨日も山手線に乗っていて、「真っ黒」って感じました。多くの会社員の人たちは、まあほとんどダークスーツ。みんな無表情で、疲れ切った雰囲気を漂わせています。少なくとも、人生を楽しく過ごしているって感じは伝わってきませんね。不機嫌にただただ何かにじーっと耐えているって感じです。こんなちっとも楽しそうに働いていない大人の姿を、毎日毎日いやというほど見せ付けられている若者たちはかわいそうです。自分の子供には見せたくないですね。
 先月提出された一人の学生からのリポートに次のような文書をみつけ、大人の一人として、大変申し訳なく思いました。「現在の若者の悩みは、やりたいこと、夢がないということだ。、、、、、、、まず日本では大人自身がもっと働くことを楽しみ、情熱をもつという姿勢に変えられれば、リストラや過労死といった社会問題も変化させていけるのではないかと思う。、、、、、、、、大人の仕事を楽しむ姿は、子供の働くことに対する考え方さえも変えていけるのではないだろうか。」
 いきいきと楽しんで仕事をしている姿を、あなたは周りの大人の中に見出すことが出来ますか?仕事は、本来楽しいもんじゃないんだよ、お金をもらうことはそんなに楽なことじゃないんだよっていう大人たちの反論が聞こえてきます。そう決め付けてしまえばそれまでで、割り切ってしまえば考えなくてすむから楽ですよね。二度とない人生の大切な時間の3分の1は仕事に費やすのですから、仕事を楽しめないってのは不幸なことだよね。
 村上龍のとっても面白い近未来小説『希望の国エクソダス』(文春文庫)にも、「この国には何でもある。ただ希望だけがない」っていうセリフがありました。これは致命的。「自分には何にもない。ただ希望だけがある」っていうのが若者の姿だと思います。希望があれば、いつも前向きに困難を乗り越えて前進していけます。何にも持ってなくても希望だけがある大人になって、日本を変えていきましょう。