消費しまくって不安定化する日本の社会

 今年の夏、ヤマダ電機で、冷蔵庫と洗濯機を同時に買いました。10年は使うだろうと予測して、現時点では最高水準のものを購入し、両方で30万くらいになったと思います。冷蔵庫と洗濯機を同時に買うというようなことは、菅原の人生でたぶんこれっきりだと思うので、つい気負ってお店に行きましたが、店員さんの態度には、肩透かしを食らったような感じがしました。なんてったって、こっちは人生において滅多にあることではないので、つい力が入ってしまうのですが、何件か回った量販店の店員さんは、どの店の人の態度も、決して勧めることはなく、欲しければどうぞお買いください、いやなら買わなくてもいいです、ってな感じで、とってもクールなんです。こちらとしては、大きな買い物をしてくれる良い客だと思って喰らいついてくるぐらいの姿勢を、店員さんには期待してたわけですから、がっかりです。

 そのなぞが解けたのは、配達をしてもらったときです。その配達のお兄さんは、ヤマダ電機専属で毎日配達している人で、聞くと一日に20軒から30軒に届けるそうです。それが毎日毎日です。いったい誰が、そんなに買っているんだろうと不思議で、不思議でたまりません。ヨドバシカメラの配達のお兄さんが来たときにも、やっぱり、一日20から30軒に配達するといっていました。毎日毎日、日本中でこんなに多くの家電製品が販売され、トラックに載せられて運ばれているのでしょう。まさに消費しまくっているって感じがします。こんなに毎日、毎日売れているんだから、店員さんも、こちらをすげなく扱うってわけですよね。

 さらに驚いたことがあります。配達のお兄さんが言うには、一軒行って500円だそうです。大きくて重い家電製品の箱を、えっちらほっちら運んで、一軒500円。歩合制ですから、運んだだけの収入。いろいろなものの価格がどんどん下がっている要因の一つに、こういう不安定な労働体系があるんだと思います。この条件で働いていては、生涯は続けられません。まさに使い捨てではないでしょうか。不安定な労働体系は、一時的には利益をもたらすでしょうけれども、長期的には社会を蝕みます。
消費しまくり社会と、不安定化が進む労働市場の現実を垣間見て、恐ろしくなりました。”Simple & Natural” をモットーとして、なるべく物は持たず、人と地球にやさしく生きることを心がけていますが、よほど強い信念がないと、やはり今の日本の環境から影響を受けてしまって、人と地球にやさしくない生活を送ってしまいます。そんなに強い信念を持っていない根性なしの菅原は、どうしていいかおろおろするばかりです。