環境を選ぼう

 環境が人間に大きな影響を与え、いかに大切かということを、身近な出来事を通して、改めて認識しました。幼稚園の年長組に通う息子が、先日、突如家で漢字の練習を始めたのです。もう漢字に興味をもったのかと感心しました。とはいえ、小学校のお受験をさせるつもりはまったくないし、早熟は後で伸びないと思っているので、内心、漢字なんか別にまだ書けなくても良いけどなと考えていました。

 後に妻からの話で分かったのですが、幼稚園では、息子以外は全員漢字が書けるそうで、それに影響されて、誰かに言われたのではなく、自分で漢字の練習を始めたというのです。周りの影響ってすごい。何にも言わなくても、本人が、周りの環境から何事かを察知すると、それに対応した行動を自らとるようになるんですね。言われてやるんじゃなくて、自分で考えて自ら行動するって事が大切ですね。

 息子の今回の出来事には、理由があります。息子は、秩父で自由と自主性を重んじる教育方針を掲げる素晴らしい幼稚園(花の木幼稚園)に通っていたのですが、10月から札幌のインターナショナル山の手幼稚園に転入したのです。ここは秩父の幼稚園とはかなり違うようで、ブランド教育を掲げ、随分といろいろなことをやってくれます。通っている子供たちの中には、小学校受験をする子もいるようで、幼稚園では園長先生が、それに向けた面接をしてくれるとのこと。

 そうか、こういう環境に息子は突然おかれたので、それに適応しようと、自分から漢字の練習を始めたんだなと納得がいきました。幼稚園に限らず、小学校から大学に至るまで、さらにそれ以後も、どういう環境に身を置くかによって、人生が大きく変わってきます。環境しだいで、伸びる才能も伸びないでしょうし、逆に新たな可能性を拓く事もあるでしょう。切磋琢磨できる環境を選ぶことがとっても大切です。「孟母三遷」という有名な諺があります。孟子のお母さんが、孟子に優れた教育を受けさせるために、よい環境を求めて三度引越ししたそうです。

人 によって良い環境ってのは当然異なるでしょう。しかし、だれにでも共通して言える事は、「世界に目を向け、世界をいつも意識する」ような環境がとっても大切だと思います。世界に目を向けていれば、こんな自分じゃまだまだダメだってことをいつも思い知って、自己研鑽に励むでしょう。日本に暮らしている自分がどれだけ恵まれているかを知っていれば、感謝の気持ちと共に、少しでも他のために役立とうと自然に思えます。そこから、似非ボランティアとは違った、本心からの他への貢献に一歩を踏み出すでしょう。

 ぬるま湯につかっていると、そのときは気持ち良くても、そこから出たときに風邪を引くからね。世界にチャレンジすると、癖になって病みつきになるよ。