環境が人をつくる

 環境がいかに影響するかを実証するための実験として、次のような例があります。自由に動き回っているウサギに、透明なプラスチックのケースをかぶせると、初めのうちは自由に動こうとして、プラスチックにゴンゴンぶつかっています。しかし、やがてそこから出られないことが分かると、今度はプラスチックのケースをとっても、限られた空間の中から出ようとしないそうです。新しい環境に変わっても、それまでの環境に慣れてしまっていると、行動が変わらないのです。
 菅原も最近このことを実感しました。この4月に、12年間勤めた職場を去って、新しい職場に移りましが、前の職場と現在の職場では、組織文化がかなり違っています(もちろん菅原には現在の職場のほうが合っています)。前の職場は非常に保守的で数年は息が詰まりそうでした。しかし、知らず知らずのうちに慣れてしまって、いつのまにか何も感じなくなっていたのです。ところが、今度の職場は、とても明るくのびのびしていて自分の性格にはぴったりです。しかし、前の職場でしみこんでしまった思考様式や行動様式を、急には変えることができずに引きずっている自分があることに気付きました。
 環境って恐ろしい、環境ってとっても大切だと痛感しました。自分が置かれた環境から、知らず知らずのうちに強く影響されているのです。ですから自分にあった最良の環境を選ぶことはとっても大切です。住む場所、学校、職場、なんでもそうだと思います。自分の才能を伸ばすことが出来る環境に自らをおかないと、せっかくの可能性も途中で閉じてしまいます。
 18歳で「おらこんな村いやだ。東京さ行くだ」と、小樽を後にして東京へ出てから、学生時代に5箇所、アメリカで2箇所、イギリスで2箇所、その後、また日本で2箇所に住みました。そして、また近いうちに新しい場所に引っ越します。振り返ってみると、あまりよくなかったなあと思える場所に住んでいた時は、やっぱり運勢も下降していました。
 この春から一週間の半分を札幌で働くという生活を3ヶ月送って、いつも東京と札幌を比較して気付くことがあります。北海道は豊かな大地のおかげで、衣食住の環境が東京と比べてずーっとよい分だけ、それほどがつがつして暮らす必要が無いので、新しいことに真剣に挑戦する必要も無く、人々がみんなおっとりしています(と感じました。みんな良い人)。広い世界に目を向けることも無く、小さな世界で満足しているような感じを受けます。
 北海道(外地)は、内地からのフロンティア・スピリッツをもった人たちがやってきて開拓されたので、もともとは挑戦者ばかりだったのです。それから時代が過ぎて、何代か後になって、その子孫たちは、豊かな環境のおかげで、フロンティア・スピリッツがなくなってしまったんだと思います。環境って恐ろしいですよね。
 「朝風呂に入って、ぬるま湯につかっているようなことをしていると、人間(組織)はだめになる。でも、ぬるま湯って、長く浸かっていると、身体に良いんだよね」これは、挑戦や変革を拒否する人の名言で、なるほどって納得しました。
 切磋琢磨できる環境を自ら求めることが大切です。菅原は生涯、挑戦者でいようと、自らに言い聞かせています(今のぬるま湯に浸かっていると気持ちもいいし、身体にもいいんだけどね)。