スロー、スロー、スロー

 一昨日のゼミナールに、卒業生の女性2名が休みをとってわざわざ来てくれ、現役学生に良い刺激を与えてくれました。社会人5年目になると、心遣いや身のこなしが洗練されてきていて、学生とは違って、とっても心が落ち着く感じがしました。また就職活動中でゼミへの参加が免除されていた4年生5名も久々に顔をそろえました。就職活動で鍛えられて、社会的常識も身につけ、少しずつ成長している4年生の姿をみて、嬉しく思いました。まだまだ考えていることが幼くて、これでは面接した企業の方々も苦笑しているだろうなと思う点もありましたが、とにかく成長していることが分かります。
 卵がイモ虫になってサナギになって、そしてきれいな蝶になるには時間がかかります。気持ち悪いイモ虫を見て、鳥肌が立ちそうになることもありますが、その先にある綺麗な蝶の姿をそこに見い出し、辛抱強く待つことが必要だと改めて思います。
 どんなに急いで、せっせと水や肥料をやり、光を当てたり暖めたりしても、美味しい野菜や果物が実るまでには一定の時間が必要です。人間の成長も同じことだと思います。どんなに急いでも、必要な時間はかかるのです。
 最近はなんでも、かんでも早くなって、何事も早く早くと、せき立てるような風潮が社会にはあります。特にビジネスの世界ではスピードが速まり、人のついていける限界ぎりぎりになっているように感じます(だからビジネスパーソンたちは、いつも疲れきってドローンとした顔で山手線や中央線に乗ってるんじゃないかな)。知らず知らずのうちに、この速い流れの中でおぼれそうになっているんじゃないでしょうか。
 「スロー」こそが、いま一番かっこいい生き方だと思います。道を急いで走って行ったら、途中の景色を楽しむことが出来ないし、あっという間に終点についてしまって、この世とバイバイってなことになちゃうよね。
 「急がば回れ (Haste makes waste.)」って、だれでも知ってることわざです。「人生は重き荷を背負うて、遠き道を行くがごとし、急ぐべからず、不自由を常と思えば、心に不足なし」って徳川家康が言ってます。「牛歩招福」って、どこかの偉いお坊さんが、色紙に書いてました。ゆっくり、ゆっくり。人生を急いで、一時的に時代の寵児だ、風雲児だなんてもてはやされても、途中でこけたら何にもなりません。さっさと咲いた花は、さっさと枯れる。この自然界の大法則に、一切の生き物は逆らえないのだ。