組織の明日を知るために大切な視点

 スタンフォード大学ビジネススクールの創造性開発コースでは、3Eと3Dというキーワードを使って、自分の進む道を選択していくように教えています。つまり、3Eとはeasy(簡単)、effortless(努力が要らない)、enjoyable(楽しい)で、3Dとは difficult(困難)、distasteful(味気ない)、 depressing(憂鬱になる)です。3Eを感じる分野でこそ、生き生きとして創造性を発揮し、継続して取り組んでいけるといっています。
 とはいえ、初めから3Eの仕事ってないでしょうね。どんなに好きな仕事であっても、時に困難にぶつかります。味気ないと感じることもありますし、憂鬱になることだってあります。菅原は自分の能力のなさをいつも思い知らされていますし、時に砂漠に水をまいているような虚しさにおそわれることもあります。
 大切なことは、3Dを3Eに変えてしまうことが出来るかどうかです。困難なこと、味気ないこと、憂鬱なこと、これらすべてを楽しいことに変えてしまうのです。限られた人生、楽しいこと以外に使って無駄に出来るような時間はないのだ。
 基本はポジティブ・スィンキング。どんな時も、先を明るく見るということ。そして、夢、希望、目的をもつことです。
 会社の説明会に行って、社員の人たちが夢や目的を語っているか、ポジティブ・スィンキングかネガティブ・スィンキングか、ここを見ることがポイントです。説明会や会社案内のパンフレットは、そもそも良いところを伝えることが目的なのですから、きれいな言葉、カッコいい言葉ばかりが並んでいます。それらに騙されてはいけません。弱点や今後の課題などについて触れているのを、一度も見たり聞いたりしたことがありません。
 業績に関する数字だって、粉飾されているかもしれません(いろんなことを粉飾している企業のニュースが次から次へと報じられてるよね)。粉飾できないのは、唯一、社員の生きる姿勢、働く姿勢です。業績がちょっとばかり良くたって、社員に夢や目的がないような会社に未来はないでしょう。業績がたいしたことなくたって、社員が夢や目的をいつも口にしていれば、必ず伸びるでしょう。菅原が以前いた組織では、夢や目的が語られることはまったくなく、当然、急降下って感じでした。
 ソニー、松下、ホンダ、マイクロソフト、デル、いまでは世界に名前を知られたこれらの企業も、初めはみんなベンチャー企業。業績なんてたいしたことなかったんです。お金はなかったんです。でも目を輝かせて夢や目的を語り、ポジティブ・スィンキングな社員がいたんです。