「本物」を知って、自らも「本物」にならないと、人生はつまらない

 妻の両親は秋田県の出身なので、お正月にはお父さんが「きりたんぽ」を作ってくれます。さすがに本場ものって感じで、本当に美味しいと感動しました。観光旅行で食べる、その土地の名物料理といわれているものには、二流品が多くてがっかりすることもありますが、本物の名物料理は長い歳月をかけて洗練されてきただけあって、さすがに美味しいですね。
 現在住んでいる秩父は山奥で何にもないのかなと思っていたら、うどんとこんにゃくがとっても美味しい。18歳まで育った小樽では、うどんやこんにゃくはまずかったので、これらは大して美味しくないものだと勝手に思い込んで生きてきましたが(小樽出身の人がいたら聞いてみてください。たぶん、まずいと思っています)、秩父に移り住んで、うどんとこんにゃくの美味しさを知りました。
 なんでも本物はすごくて、本物を知っていると二流品を見抜けますが、本物を知らないと二流品でもそれが本物だと誤解してしまうことになります。菅原はうどんとこんにゃくは30年以上も、たいして美味しくないものだと誤解して生きてきたのですから。
 また我が家では、数年前に調味料(味噌、醤油、砂糖、塩などなど)を最高のものに替えました。国産で有機栽培の材料だけを使っている調味料にしたのです。そうすると、学生時代には美味しいと思っていた早稲田あたりの安定食屋の味噌汁が、化学調味料くさくて飲めなくなりました。
 食材も宅配を利用して本物を手に入れるようにしています。野菜は「らでぃっしゅぼーや」の宅配で国産有機栽培野菜か地元の秩父で朝採れた野菜を食べるようにしました。そうすると、手をかけられて育った野菜には、食べると力があることが分かるようになったのです。本当においしくて体に力が満ちてくるのが分かります。子供が野菜を食べなくなったといわれていますが、それは本物の野菜を食べたことがないからでしょう。本物の野菜なら、そのままで食べてもあまくて、必ず食べると思います。ファミレスで、外国産の冷凍B級野菜を安調味料で料理したものを食べて、それが野菜だと思ってしまうと、野菜が嫌いになるでしょうね。
 食べ物の話ばかりになりましたが、食べ物以外でもニセモノやB級品が幅を利かせています。ディズニーランドに行ったときも、ニセモノだらけでがっかりでした。たしか、車に乗って進むといろいろな動物が出てくるというようなアトラクションでしたが、長い列を作った挙句に、こんなニセモノの動物ばかりを見せられて喜んでるなんて悲しいなと思いました。でもそれは、ケニヤに行ってサファリで本物の野生の動物たちを見たからです(自分の子供には、絶対にアフリカで本物を見せてやろうと思いました)。
 急速な技術の進歩によって、多くの分野で精巧なニセモノを作れるようになりました。しかし本物はやはり本物です。若いうちから、多くの本物にたくさん触れておくことがとても大切です。ニセモノは安くてとっつきやすくても、「安物買いの銭失い」という言葉があるように、安物のニセモノで満足していては、貧相な人生になります。やっぱり本物は、高いこともありますが、それだけの価値があるのですね。
 一回しかない人生、本物を知らずに終わるなんて悲しいですよね。どんなものにも、本物、B級品、ニセモノがあります。人間もそうです。一流、二流、三流といろいろな人がいます。自らも本物になるために、そして本物に出会うために、日夜研鑽に励みましょう。