答案作成の極意 −相手の立場に立つ−


大学では定期試験の季節がやってきました。どのような答案(論述式の場合)がよい評価を得られるかについて考えてみましょう。自分を反対の立場においてみると、それまで気づかなかったことが分かってきます。つまり、自分が採点する立場(つまり多くの答案を読む立場)にたって答案作成を考えてみるのです。

試験が行われた時から短い期間で採点を終えて、成績評価をし、成績報告書を提出しなければなりませんので、この作業は教員にとっては、結構苦痛です。特に、答案の枚数が多くなるといやになります。という立場に立って、答案作成を考えてみると、3つのポイントが明らかになります。

まず第一に、読みやすいということ。字は上手ではなくてもよいのですが、丁寧に書かれてあることは、必須です。なぐり書きしてあるような答案は、まったく読む気がしません。どうやったら、読んでくれる人にとって読みやすいかをまず考えることが大切でしょう。自分が書きたいように書くのではなく、相手が読みたくなるように書く、これは最大のポイントです。

このことは何事にも当てはまります。「相手の立場に立って考える(Put yourself into other’s place.)」という癖をいつもつけることです。そうすると、よく相手のことが見えてきます。答案を読んでいて、同じような表現をしている答案に何枚も出会うことがありますが、これもとってもつまらないので、採点者の気分が悪ければ、評価が下がります。

第二に、なるべく答案用紙にびっしり書く。ゼロに何をかけてもゼロです。ゼロは、いつまでたってもゼロ。つまり、ほとんど書いていなければ、いくら採点者が甘く評価しようとしても、評価のしようがないのです。なんか書いてあれば、まだどうにかなります。とにかく書くこと。とはいっても、私は学生時代に切羽詰って校歌を書いたり、自分はいかに大学を愛しているかというようなことを書きましたが、これは通用しません。分からなくても、関係していそうなことを答案用紙にびっしり書く(8割以上)。

第三のポイントは、先生をほめること。答案の最後に、「一学期間お世話になりました。とても勉強になりました。すばらしい先生に出会えたことを感謝します。この授業をとって本当に良かった」ていうようなことを、たとえ思っていなくても、大げさに書いてほめまくること。人は誰でも(先生もただの人ですから)、ほめられるとうれしいのです。これによって、本来Bをつけるところを、ペンがすべってAをつけるなんてこともあり得ます。人をほめる、ほめて、ほめて、ほめまくる、これも何事にも当てはまります。ほめることと、笑顔は、コストゼロで、相手を喜ばせる最良の方法であると心得ておきましょう。(文字数:1123字)