すべてに長所と短所が必ずある

 すべてのものには、長所と短所、強みと弱みが必ずあります。どちらか一方だけということは決してありません。どちらか一方しか見えないときは、判断を誤りますから気をつけなければなりません。
 一昨日アメリカから戻ってきたところなので、アメリカの長所と短所を考えてみたいと思います。アメリカの強い分野は、教育とイノベーション(革新)でしょう。そして、弱い分野は健康と環境です。
 意図的か、もともと持っている国民性かは分かりませんが、アメリカには、とにかく人のもっている才能を最大限に引き出して伸ばす土壌が整っています。日本の「出るくいは打たれる」の反対で、「出るくいはどんどん出す」のがアメリカです。ですから才能のある人間が世界中から集まってきて、切磋琢磨しあい、次から次へと新しいものが生み出されています。
 しかし、これは反対から見ると、やる気がなかったり能力がない人間にとってはとてもしんどいことで、すぐに落伍者になってしまいます。こうして社会の二極化が進みます。それでも一度負けたらおしまいではなく、チャンスがいくらでもある社会は、とても活力に満ちていて、それが次々とイノベーションを生み出すことにつながっているのでしょう。
 私の4歳の息子は道を歩くとき、必ず道に落ちているものを拾ったり、虫を見たりしてなかなか思うように進みません。そんな彼を見て、通りかかったアメリカ人は、He is a scientist.(彼は科学者だ)といって通り過ぎました。日本人の自分には、とても言えない事だとハッとしました。なんでも前向き、肯定的にとらえる思考様式は素晴らしいと思います。ほめて、ほめて、ほめまくって、人を伸ばすのがアメリカ流だと思います。しかし、ちょっとしたことにも、Great!, Wonderful!を連発されると、このお調子ものめとも思ってしまいますが。

 今回の旅行では、本来の目的とは別に、アメリカ人のお腹を見ることに焦点を当てました。だいたい6割の人はお腹が出ていたように思います。肥満大国アメリカです。ゴムまりのようにまんまるな体形の人も珍しくありません。アメリカ以外では決して見ることのできない人たちだと思います。どうしてこんな体形になるんだろうと、ほんとうに不思議なくらいです(デジカメで撮って載せようとも考えましたが、失礼だと思ってやめました)。これは実際に見なければ、想像出来ない体形ではないでしょうか。首、腕、胸、背中、お腹、太股、どこもハムのようです。スーパーに行くと、甘い加工食品ばかりが並んでいて、どうしてこんなにも体に悪そうなものしか売っていないのだろうと、とっても不思議です。こんなものばかりを食べていたらゴムまり人間がのしのし闊歩していることも、なるほどを分かります。
 環境保護についてもアメリカ人はいろいろな運動をしていますが、彼らの生活自体が環境に悪い暮らしをしています。惜しげもなく大量に捨てられるごみの山。5車線を埋め尽くす一人しか乗っていない自動車。「地球に優しく」というスローガンをよく目にしますが、それは彼らの生活がまったくその反対であるからこそ、声高に叫ぶ必要があるのでしょう。
 日本はアメリカの逆で、健康と環境に強く、教育とイノベーション(革新)に弱いので、日米がお互いに補い合う仕組みをもっと創って行く余地が大いにあると感じます。(文字数:1215字)
(参考→http://d.hatena.ne.jp/Seattle/20050330/1112177638