仕事の意味を勘違いしないようにしよう

 いま藤の花がきれいに咲いています。藤の花は咲けば咲くほど、下にたれて、人々はきれいな花だなあと、見上げます。「実るほど、人が見上げるさがり藤」とは、藤の花が下にたれればたれるほど、人が見上げるということですが、その本当の意味は、人は頭を下げて謙虚であればあるほど、他の人から立派な人だと尊敬されるということです。逆に、俺は偉いんだと威張っていればいるほど、誰からも尊敬されないのです。立派な人は、どこにあっても謙虚で、人に仕えていく姿勢を持っています。
 「仕事」という言葉を分解すると、「仕える事」、つまり他の人に仕えていく事となります。他の人とは、お客様であり、部下です。その対価として報酬を手にするわけです。一見当たり前のことのように思われます。ところがこの意味で仕事をしている人が、それほど多くはないことに気づきます。(参考→「漢字を分解すると物事の本質が見えてくる」http://d.hatena.ne.jp/Seattle/20050201 )
 お客様に仕えるのではなく、いつしか企業の論理を振りかざしてしまって、自分が中心になっている人をみかけます。お客の立場に立たずに、売る側の都合で商売をするので、いろいろな偽装事件が頻発しています。
 また、仕事上での身分が上がっていくにしたがって、自分は偉いのだという錯覚を起こし、「稔るほど頭をたれる稲穂かな」の逆になっている人たちも結構みかけます。頭がどんどん高くなり、鼻がにょきにょきと高く高く伸びている人はいろいろなところにいます。仕事上の身分が上がるということは、決してその人が偉いということを表しているわけではなく、より多くの人に仕えていく事を意味していると思います。人に仕えることを忘れたお偉い面々がいつの時代にも闊歩しています。その結果は失脚です。
 どこまでも身は低く、人に仕えていくことが「仕事」。他に仕えきる事が、また自らも活かされる道であることを忘れないようにしたいと思います。