感覚による思い込みは、目を曇らせる

 世の中の大きな流れを、感覚で察知することと、データに基づいて捉えることは、どちらも重要です。どちらかに偏って、誤った思い込みをしてしまわないよう、いつも意識していることの大切さを再認識しました。

 最近は、若者による凶悪な殺人事件があちこちでおこり、なんとなく世の中が悪い方向へ向かっているように感じていました。日本では「安全はただ」といわれてきましたが、もはや通用せず、生活のいたるところで警備員の姿を見かけます。

 しかし数字でみると、安全な社会が崩れ去ったとはいえないことが分かります。今朝の朝日新聞でそのことを知りました。日本人男子の殺人者率は、60年代に比べて、全体で4分の1に減り、なかでも10代は6分の1、20代は7分の1に減っているそうです。これは主要国では最低レベルで、特に10代20代の若者の殺人者率の低さは、他の国には見られない現象ということです。「若者が凶悪化している」という感覚的な見方は誤っているのです。自分自身、誤った思い込みをしていたことを知りました。

 感覚は、世の中の動きをいち早く察知するために不可欠ですが、その後には、やはりデータによる検証が不可欠です。誤った思い込みは、物事を正しく見る目を曇らせます。