感動と挑戦が人生さ

 昨日、山手線に乗っていると、新学期の科目登録関係の書類を手にしている新大学生を何人も見かけました。念願の大学生になって、皆、新しい希望に燃えているのでしょう。4月は、新しい出発の月ですね。このときの意気込みが一番高く、あとは下がっていくばかりではないでしょうか(NHKの語学講座のテキストも4月が最も売れて、後は減っていくそうですし)。

 何事も始まりが大切ですから、4月は可能な限り自分を高いところにおいて、そこから出発したいものです。ところが、だんだんとこれが難しくなってきます。私は大学の教壇に立つようになって7年目ぐらいまでは、春になると気合をいれて新学期の準備をしていましたが、以後は準備に注ぐエネルギーは減るばかりです。大学生の授業評価アンケートの結果では、歳をとった先生ほど、評価が下がっていく傾向にあるというのも、うなずけます。なぜでしょうか?「慣れ」が最大の敵です。

 歳を重ねると、人間のごく当然の摂理として、頭も、心も、体も硬くなっていきます。これは良い悪いの問題ではなくて、人間はそのように作られているということであり、だれも逆らうことは出来ないということです。とはいえ、なるべくそれらを柔らかく保ちたいと思います。頭や体を柔らかく保つために、いろいろなテクニックが生み出されています。では、心を柔らかく保つためにはどうしたらいいでしょう?

 「感動」です。感動して心が振るえるということがとても大切。人はだんだん感動しなくなりますからね。どれだけ毎日の生活で感動しているでしょうか?惰性で同じような生活を繰り返していては、感動からはほど遠い世界に暮らしていますよね。

 初めはなんでも感動します。初めて知る世界は新鮮で感動です。「限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則」なんて、経済学ではさも難しそうに言っていることがありますが、要するに、一杯目のビールが最もおいしくて、それ以降はだんだんとおいしさのレベルが下がっていくということです。初めて行ったタイは、わけわからなくてとっても面白かったのですが、もう何回行ったか数えられなくなると、感動もしなくなります。初めて握った彼・彼女の手は感動もんですが、結婚して何年もたつと手すら握ろうとは思わなくなり、しまいには「畳と女房は新しいほうが良い」なんて女性蔑視の言葉が出たり、定年退職後の夫を「濡れ落ち葉(べたっとくっついて離れない迷惑な汚い葉っぱ)」と呼んだりします。

 感動は心を柔らかくします。いつも新しいことに挑戦していると、感動があります。つまり、人生は感動であり挑戦です。さあ、新しい春に、新しい挑戦をしましょう。昨日より今日、今日より明日、変わらなきゃ。