愚者は話したがり、賢者は聞きたがる

 おばさんどうしの会話は、いつ聞いても本当に面白い。お互いに自分の言いたいことを勝手に一方的に話しまくっているだけで、相手の話をまったく聞いちゃいない。これでどうして、会話が成り立つのかと、いつも不思議。まあ、要するにおばさんの会話というやつは、相手のことなんか構っちゃいない、ただ、ただ、しゃべりたいことを話しまくって、自分がすっきりしたいだけ。相手の話を聞いて、そこから何かを知るということは、おばさんの会話にはまったく関係のないことなのです。可愛らしい女子学生が、一方的に話しまくるずうずうしいおばさんへと変身するのは、一体いつなのだろうかと、その時を見てみたいといつも思ってます。

 とにかく人は、自分のことを話したがる。カウンセラーの仕事の8割は、ただ、ただ、相手の話を親身になって聞いてあげること。それですっきりして、何も助言していないにもかかわらず、おかげでよく分かりましたと、礼を言って帰っていくとのこと。大学の教員も、おとなしい学生を相手にしゃべりまくって、ストレスを解消している。あの先生は話し好き、話し出したら止まらない、と陰で学生たちにいわれている教員はかなりいます。

 愚者はただ自分の感情のままに一方的に話したがり、賢者は相手の声に耳を傾けて学ぼうとします。「耳が二つで、口が一つ」というのは、話す二倍を聞くようにということ。