新しい時代を創るのは、ばか者、若者、よそ者

 効率優先の経済成長至上主義は、日本に物質的豊かさをもたらし、私たちの生活はモノであふれかえるようになりました。その一方で、市場や政府では解決できない問題が数多く目に付くようになってきています。漠然とではあっても、日本の社会全体が、これまでより悪い方向に向かっているように感じている人は多いと思います。従来の成長方程式が成り立たなくなってきていることは確かでしょう。新しい社会を模索する多くの動きが見られます。その一つとして、社会志向型企業や事業型NPOが注目され、その可能性に期待が寄せられています。

 昨日(2005年2月12日)、NPO法人「ソーシャル・イノベーション・ジャパン」の設立発表会が東京駅前の丸ビルで開催されました。その目的は、福祉、環境、教育、安全といった領域での社会的課題の解決に取り組む「社会的企業家」を育成し、そのネットワークを日本全国に広げることです。設立発表会とその後の懇親会で、社会的企業家として活躍している方々のお話をたくさん伺いました。彼・彼女らに共通することは、「そんなこと無理だ」といわれるようなことに挑戦して、新しい道を切り拓いているということです。いうなれば変人扱いを受ける「ばか者」です。
 さらに、元気の良い「若者」が既成の概念を打ち破って、新しい時代を創りつつあることを感じます。これまで、学生にとって最も人気のある就職先は大企業とお役所ときまっていました。もちろん今もその枠組みの中にいる若者は多いでしょう。とはいえ、そういった生き方を越えて、お金や安定を第一に求めず、NPOを就職先にする若者が確実に増えています。時代のキーワードは何といっても「多様性」で、少しずつ選択肢が多様になってきています。
 そして違う分野からはいってきた「よそ者」が斬新なアイディアを出し、これまでの閉塞した壁を打ち破っています。中にいる人たちにとっては疑う余地のない常識でも、よそからやってきて人にとっては、おかしなことがたくさんあります。

 「ばか者」、「若者」、「よそ者」を大切にし、伸び伸びと活躍できる場を提供できる組織や社会が新しい時代を切り開いていくでしょう。成長至上主義(なんだかんだいっても企業人は成長が第一だと思ってますよね)、身内主義(日本人って、どこにいっても仲間内でかたまりますよね)、年功序列主義(いまだにおっさんが時代遅れの説教をたれてますよね)に、いまだとりつかれている組織、社会は確実に衰退していくでしょう。さあ、ばか者、若者、よそ者の皆さん、大いに吠えて下さい。皆さんの時代がやってきています。わたしも吠えます。