理論と実践は密接不可分:現場も理論もどちらも大切

 Amazonに書き込まれていた読者の方のコメントで、以下のように書かれているものを読んで、ごもっとも、と思います。


 「常々、日本の経営書にナカナカ良い本が出ないのは、実業界と学会が分かれているからだと思っている。欧米ではこと経営学に関しては、先生は実務経験者が多い。ましてや、起業家コースなど、殆どが自ら企業経験のある人だ。ところが、日本の場合、『経営』を教えているのは、経営をしたことのない素人。教えるほうも、教えられるほうも『経営』なんてしたことないのだから、やるだけ無駄である。」
 こんなコメントをされないように、われわれ大学人はしっかりと研鑽を積んでよい成果を世に出さねばと思います。この方の指摘は、菅原も常々感じていることで、「理論と実践は密接不可分(Theory and practice are inseparable)を肝に銘じてきました。それゆえ会社を作って自分でもやってみました。資金繰りに苦労して消費者金融3社からお金を借りて、何とかしのいだり、取引先に夜逃げをされて、相手のオフィスにいってみたら、もぬけの殻なんてこともありました。理論も実践もどちらも大事です。
 スポーツの世界では、良い選手が必ずしもよいコーチ・監督であるとは限りません。逆に選手としてたいしたことがなくても、一流のコーチ・監督になっている人もいます。つまり、自分で実際にうまくやれるということと、うまく教えられるということは、同じ能力ではないのです。
 経営についても、自分でうまくやれるということと、うまく教えられるということは、別の能力です。しかし、それでもどちらの世界も知っているということは必要でしょうね。答えは「現場」にあると、教えていながら、現場に行ったことのない教員では話になりなませんからね(菅原は、11月に小田ポリグル会長と一緒にバングラにいきます。1月ごろにはアフリカに行く予定です。現場、現場、現場、現場に足を運ばないとね)。
 BOPビジネスについても同じです。本や論文をよく読み、国内でのセミナーやワークショップにいくら参加していても、現地に行って、やってみないと分かりません。逆に、ただやるだけでは無謀です。これまでに先人の試行錯誤から得られた知見を知った上でやらないと、同じ過ちを繰り返すだけです。