学会でも機が熟しBOPに風が吹き始めた 

 BOPビジネスの研究を本格的に始めた6年くらい前、「BOP」あるいは「BOPビジネス」という言葉で検索しても、結果はゼロ件でした。ところがいまでは、検索するとわんさか出てきます。Twitterでも、たくさんつぶやかれています。かつての検索結果ゼロを思うとき、隔世の感があります。
 2007年から学会でBOPビジネスについて研究報告を始めても、誰も関心を示してくれません。そして今年、ついに学会でも機が熟しBOPが取り上げられるようになりました。まず、7月10日に東洋大学で開催される多国籍企業学会全国大会において、統一論題セッションで「BOPビジネス」が取りあげられます(これが日本の学界では初です)。菅原もこのセッションで話をさせていただきますが、経済産業省の小山智課長にもお願いして、快諾を得ました。
 10月24日に北海道大学で開催される国際ビジネス研究学会全国大会では、BOPビジネスのパネル・セッションが設けられます。菅原が司会を務めさせていただいて、やはり経済産業省の小山智課長にもお越しいただきます。そこでは、日本企業によるBOPビジネスの可能性と課題について多方面から議論を深めたいと考えております。小田日本ポリグル会長にも頼んで、基調講演に登壇していただきます。
 あんなに誰にも相手にされなかったBOP研究がこうして、やっと日の目をみるようになり始めました。これまで研究助成をいくら申請しても、やはり審査員の先見の明のなさのために没にされてきました。今年度やっと採択されて研究費がつきました(BOPビジネスに研究費がついたのはこれが日本初でしょう)。
 こうして、最初は相手にされなくてもこつこつ努力を積み重ね、機が熟するのを待つ切さを実感します。どんなに急いでも、機が熟さなければ物事は成らないのですね。