めざすは「教えないプロフェッサー」

 
 今から15年くらい前、ロスアンジェルスの空港に到着してスーツケースを受け取ろうとしている時、自分と同じシャツを着ている日本人を見かけてすごくいやな気持ちになりました。道を歩いていて自分と同じ顔の人と会ったら、きっと気持ち悪くてとっても嫌だろうね。だけど考え方や行動は、人と同じでも気持ち悪くはないし、むしろ同じほうが安心っていうのが大多数の日本人。これって、おかしいことじゃないでしょうか。自分と同じ考えの人がいたら気持ち悪いなって思う感覚をもってほしいと思います。
 小学生の息子に、得意な勉強は先にどんどん進んでいいよっていうと、そうしたら先生に怒られるっていうのです。型にはめて、伸びるものも伸びなくする教育。みんな同じじゃないと、教えるほうは困るからね。こうやって、人と同じってことを徹底的に刷り込まれてきて、大学生になる。そして今度は、菅原から同じじゃダメだ、違ってなければ価値がない、なんていわれると、みんな戸惑います。しかし、違いを追及する講義を、4月から始まって、これまで3,4回受けてもらうと、だんだんと理解してもらえ、学生が変わってきます。この変わりぶりをみているのは、すごく面白いです。これを教師冥利っていうんでしょうか。
 「違う」からこそ価値がある。同じだったら、他の人に任せたらいい。他の人が考えないことを考え、他の人ができないことをするから価値がある。もちろん菅原も「違う」を追及しています。「教えないプロフェッサー」、これが菅原の目標です。「教えないプロフェッサー」って、何? 次回へ続く。