BOPビジネス−3つのガンバレ

  国際ビジネス研究学会のジャーナルに論文を投稿したところ、査読をしてくれた匿名レフェリーの方からコメントが来て、とても今後の研究に役立つものでした。「日本企業にBOPビジネスの源流があり、日本企業こそがBOPビジネスに適性をもっている」というのが、今回の論文の主張です。それに対して、「日本企業に適正があるにもかかわらず、一体なぜ、欧米企業に比べて10年もBOPビジネスに出遅れているのか」という疑問が返ってきました。
 この指摘は、今後、日本企業がBOPビジネスを展開していくにあたってきわめて重要です(有難うございます、匿名レフェリー様)。出遅れた主な要因は3つです。つまり(1)公的なBOPビジネス支援策の欠如、(2)NGOへの無関心、(3)CSR意識の差異、です。
 中でも、特に影響が大きいと考えられる要因は、(1)に関する官民連携を促進する公的支援制度です。欧米諸国ではほぼ10年前から実施されていて、最近では、欧米企業がこれらの支援プログラムを活用して、途上国においてBOPビジネスに成功する事例が数多く出てきています。一方、日本は欧米に遅れること10年、やっと2010年度からJICAが同様の制度を開始する予定です(ガンバレJICA!)。
 (2)については、BOPマーケットの攻略にはNGOとのパートナーシップが効果的であるものの、これまでNGOと手を組むなどということは考えたことがなく、どのように進めていくのかが、企業サイドの課題になっています。欧米NGOと比べると日本のNGOに力がなかった(現在も、それほどない)ので、どこと、どうやって組むかが課題です(ガンバレNGO!)。
 (3)については、CSR本家の欧州と日本との間には、CSRの定義と意義について、かなりの乖離があったために、日本企業はCSRの発展形としてのBOPビジネスの可能性に気づけなかったのです(ガンバレCSR論者!)。