「半信半疑」のBOPビジネス−実態のないBOPバブル

 8都市でのBOPセミナーを終えて札幌へ戻ると、多くの方々から問い合わせをいただき、とっても有り難く思います。BOPブームに火がついたような関心の高まりを感じます。
 そもそも経済産業省が、2009年度、私達の貴重な税金3億1千万円をつぎ込んで、BOPビジネス促進のために取り組みを開始したことによってが注目されるようになりました(先見の明とご努力に敬意と感謝を表します)。しかし、いまや実態のないバブルになろうとしています。来年くらいには、はじけると思いますから、その後の現実が大切になります。
 いま語られていることは、いまだ実現していないストーリーです。問い合わせの中にも、セミナーを聴いても「半信半疑」というご意見があります。その通りですよね。実体がないのですから。昨年12月1日、2日に日経新聞でBOPビジネスが取り上げられ、続いて経済ビジネス雑誌(日経ビジネス、週間東洋経済、プレジデント)でも特集が組まれて、マスコミもよく分かっていない中でBOP像を膨らませている感じがします。
 BOPビジネスの本質は3つ。(1)BOP層の潜在ニーズを満たすこと。(2)所得をもたらすこと。(3)自立を促すことです。この視点からすると、日本企業のBOPビジネス例はほとんどありません。ネットを売っているビジネスは、国連機関相手に販売しているだけです。小袋販売のビジネスも、単に売っているだけです。これらはBOPビジネスといえるのかどうか。このことは、やっている企業自らも認識しています。とりあえずBOPビジネスを装って今回の波に乗っかっておけば世間が注目してくれるということです。そして、経産省のFS調査を契機として、これから本当のBOPビジネスをやろうと目指しているところです。
 ブームをけん引する役所(産業連合と開発連合という二大連合があります。このことは次回に)は、BOPビジネスの間口を狭めてしまうと、参入する企業が少なくなってしまうことを懸念し、意図的に間口を広くして、なんでもあり状態を作り出しています。ですからBOPビジネスの定義も定めておりません。それは、それで、普及啓発という点では、大きな意味があります。こんなわけで、色々な人が、色々なことを言っているので、それらを聞いていると混乱して半信半疑におちいります。それを解消するための企画(BOPビジネス・ワークショップ)をいま計画中です。