賢者と愚者の違い

 先週、今やっている研究について2回、議論する機会があり、どちらからも多くを学びました。29日は国際ビジネス研究学会で研究報告をし、30日は経済産業省を訪れて中堅・若手官僚の方々に研究の概略をお話しました。
 質疑応答は、場数を踏めば踏むほどうまくなります。これまで、それなりに経験をつんできてはいても、今回も失敗したと思うことがあります。この失敗を教訓に次回はより一層うまくできるよう努力せねばと誓うところです。質問にも、良い質問と悪い質問があって、良い質問はこちらの考えをより進展させてくれます。悪い質問は、ただ質問者が言いたいことを言っているだけの場合です。質問によって、質問者の頭の良し悪しが分かりますので、質問力を高めることはとっても重要なことです。
 今回、学んだことの一つは、質問者の経験に基づいたコメント・質問に対するスマートな受け答え方です。「私の経験では、これこれこうなので、あなたの言うことには疑問です」といった類の質問に対してどう答えるか。
 経験というのは、限られた期間と場所においてのみ成り立つことで、それを普遍化することは決して出来ません。一部の経験をもって、全体を語ることは出来ません。客観的な議論のためには、経験話はあまり役立ちません。「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という諺もあります。と、こんなようなことをその場にあった、やわらかい表現をつかって切り返すと、相手は何もいえなくなると思います。大学の教員でさえ、経験話をする人がいるので、この手の人には、すかさず切り返しましょう。
 そして、自分が質問者の時には、自分の経験に基づいただけのつまらない質問をしないように心がけましょう。さらに、「賢者は学びたがるが、愚者は教えたがる」といわれますように、話しすぎず、相手から学ぶ姿勢が大切です。経済産業省では、こちらが話しすぎて、失敗したと反省です。よし、次はもっとうまくやるぞ。

http://d.hatena.ne.jp/Seattle/20050202