育てられている自分を忘れないようにしよう

 先日、知人の歯医者さんとお茶を飲んで話をしていたら、「医者は患者によって育てられる」といっていました。また「育児は育自」というように、親は子育てを通して成長します。子供を育てているようで、じつは自分が育てられてもいるのです。
 医師は患者によって、教師は生徒・学生によって、上司は部下によって、先輩は後輩によって、親は子供によって、育てられているのだと思います。このことを忘れてしまって、自分が相手を育ててやっているのだなどと錯覚してしまうと、相手より自分を高い立場においてしまい、上から見ることになってしまいます。こうなってしまったら、もう成長はありません。威張っている人や傲慢な人は、この錯覚をしている人で、成長がストップしている人ですね。周りにいないでしょうか?また自分がそうなっていませんか?いつも、自分を振り返り、襟を正したいと思います。
 ゼミナールに後輩が入ってくると、先輩たちはそれまでの姿勢を一変させ、先輩らしい振る舞いをするようになります。私の母親は以前、よく言っていました。「秀幸は、それまで甘えん坊だったけど、妹が生まれたら急にお兄ちゃんになった」と。後に続く人のおかげで、成長できるのです。
 年功序列的風潮がいまも根強い日本では、暗黙のうちに年上は偉いのだというような感覚を多くの人がもってしまっていると思いますが、先輩になればなるほど、年を重ねれば重ねるほど、自分は後に続く人たちによって育てられているのだという、謙虚な姿勢が大切ですね。そうしたら肉体の成長とは関係なく、人間としての成長を無限に続けられると思います。「常歩無限」、菅原の好きな言葉の一つです。