大学の卒業証書の価値は下がるばかり

 最近、日本の社会を支えてくれている3人の方に会い、大学生との大きな差について改めて考えました。そして大学での教育を通して「未来を創る」ことを使命の一つとしている菅原は、自分の非力を痛感すると同時に、それでも一歩一歩前進し続けようと自らに誓うのです。
 3人のうち一人は、大学時代の後輩です。彼は中国の大連でTDKに勤務していて、一時帰国のときに会いました。外国で働いている人たちと話をさせていただくと、いつもとっても勉強になりますが、今回もすごいなあーと思いました。本人は何も言わないのですが、奥様が言っていました。毎朝6時15分から7時15分まで中国人の家庭教師に来てもらって、中国語の個人レッスンを受けているそうです。前日の帰宅が、そうとう遅くならない限り毎日続けて、もう半年になるそうです。朝は8時前には家を出て、帰宅は夜9時から10時。こういう生活の中でも勉強しているのです。こういう人たちが世界中に散らばって頑張ってくれているおかげで、日本が経済大国の地位を築いてこれたのだとしみじみ思いました。
 札幌では、一級建築士の人と話をする機会がありました。彼は、3ヶ月間一日も休みがないということは、建設業界では普通のことだといっていました。こういう状態が続くと、立っていて体が揺れるそうです。初めは地震かなと思うらしいのですが、実は揺れているのは地面ではなくて自分の体だったということでした。こんな話を聞くと、ものすごい過酷に思えますが、建設業界で過労死を聞いたことがないと笑っていました。こうやって一生懸命まじめに働く方々のおかげで、社会が成り立っています。耐震構造の偽装なんて考えられないと言っていました。いつも、ごく少数の悪い人間が、他の善良な多くの人たちに迷惑をかけるのですね。
 我が家には有機野菜の宅配便「ラッディシュボーヤ」が、週一回とっても美味しい野菜を届けてくれます。配達に来てくれたお兄さんと少し立ち話をしました。毎朝4時に群馬から練馬の配送センターまでトラックを走らせて野菜を積みに行き、その後、一軒一軒配達して、帰宅は夜の7時。行楽シーズンには関越道の50キロ渋滞なんかにはまって、もっともっと遅くなるそうです。いつも寝不足だといっていました。美味しい野菜にもっともっと感謝して食べさせていただこうと思いました。
 こうして、社会のいろいろな所でたくさんの方々がまじめに一生懸命働いてくれているお陰で、現在の日本人の豊かな生活が成り立っています(今後はいつまでも続かないと思うけど)。こういう方々に深く深く感謝したいと思います。一方、大学生はどうかというと、鍛えれば鍛えるほど伸びる青春の最も大切な時期を、いたずらに浪費し、無為に過ごしている若者がかなりいるように思われます(もちろんそうじゃない人たちもいるでしょうが、少ないでしょうね)。こういう若者に、口でいくら言ってもほとんど効果はないようです(菅原の能力不足も一因とは思いますが)。
 もっとも良いことは、さっさと社会にでる。そして世の中の厳しさを知ってから大学に入る。そうすると学ぶことにたいする真剣さがまったく違ってきますから、はるかに有意義な時を過ごせます。大学のレベル低下が進んで、全入時代になっているんだから、4年間の授業料をラフに計算して400万円とすると、大卒の価値なんて400万円もないのだ(もちろん真剣に学んで元を取っている若者もいますけどね)。400万円でペラとした卒業証書一枚を手に入れるよりも、他に投資したほうがはるかにリターンは大きいのです。