吾以外皆吾師(自分以外は皆師である)

 仕事(アルバイト)、地域社会、学校、家庭、どこでも私たちは学んでいます。中でも、結婚して、さらに子供が出来ると、家庭で学ぶことも多くなってきます。妻からは、男性と女性の思考回路の大きな違いを学びました。
 女性が相談をしてくる時は、その直接的な答えを求めているのではなく、ただひたすら聞いてあげて、相手の気持ちになってあげることが大切です。女性は解決方法を求めているのではなく、聞いてくれる相手を求めているのです。ですから、解決方法などを男性が真剣に考えてアドバイスしても、そんなもんを女性は求めていません。ひたすら聞き役に徹し、相手の目をみつめ、静かにうなずいてあげることが大切です。そして手でも握ってあげれば、現実的にはなんら解決されていなくても、女性は心安らぎ、穏やかになります。
 子供からも多くのことを学ばせてもらいます。「どんなことも、他の人のせいにしてはいけないよ」と、5歳の息子にいったことがあります。それをちゃんと覚えていて、何かを息子のせいにするような言い方をしたときに、すかさず「人のせいにしたらダメだって言ってたよね」といわれました。自分の言葉と行いが一致していることが大切です。口だけではいくらでも良いことを言えますが、やっていることを見れば、その人の真の姿が分かるといわれます。いつも自分の姿や態度で、自分を表していくことが大切ですね。
 面倒くさいので結婚しないという人に、たまに出会います。また子供はいらないという人もいます。なんともったいないことだろうと思います。妻や子供を通して、学び成長する機会を自ら放棄しているのですから。結婚しないと決して分からない世界があるということ、そしてその世界を通して成長させてもらえるということ、長いこと知らずにいました。だって菅原は37歳にして、はじめて結婚したのですから。
 結婚も素晴らしいし、育児も素晴らしい。どれも自分を大いに成長させてくれる貴重な機会であり、妻や子供は優れた師です。結婚しない、子供いらない、なんていうのはやめようね。最高の成長のチャンスを逃すことになるからね。

「学ぶ心さえあれば、万物すべてこれわが師である。語らぬ石、流れる雲、つまりこの広い宇宙、この人間の長い歴史、どんなことにでも、どんな古いことにでも、宇宙の摂理、自然の理法がひそかに脈づいているのである。そしてまた、人間の尊い知恵と体験がにじんでいるのである。これらのすべてに学びたい。」(松下幸之助