ジャンクと本物を区別できる目を養おう

 本屋さんに行くと、なんでこんなに同じ様な本ばかりが、次から次と出版されるのだろうかと不思議に思います。どこの本屋さんに行っても、中規模以上の書店なら必ず、人生に成功するための方法や、投資でお金儲けをする方法について書いた本が、たくさん並んでいるのを目にします。これらの本の80%はジャンクブック(読まないほうが良い本。つまり読むと、大切なお金と時間をどぶに捨てることになる本)で、15%は読んでも読まなくても良い本。残りの5%だけが、読む価値のある本だと思います。もちろん、これは大体の比率ですが。
 ジャンクブックの特徴は、どれもタイトルが人目を引くように工夫されています。数ある類書の中から、お客さんの手にとってもらい、さらにそれを選んでレジまで持っていてもらわなければならないのですから。この一冊でお金持ちになれるとか、人生に成功するといったことが表紙や帯に書かれています。結論から言うと、この手の本を何冊読んでも、その通りにはなりません。一冊読んでみんながお金持ちになれたら、結果としては、この手の本の需要はなくなるはずですが、いつの時代にも、手を変え品を変えて出版され続けています。そして依然として、お金持ちは少数です。投資に成功する人も、それほど多くはありません。
 この事実は、いかにこの手の本が役に立たないかをはっきりと証明しています。このことは、英語の勉強法について書いた本にもあてはまります。この種の本も山のように出回っていて、その上次から次へと新しいのが出てきます。どれも、新しく画期的な勉強法であることを強調しています。しかし、やっぱりいくら読んでも英語は出来るようにはなりません。だから、いつまでたっても英語が出来ない人だらけなので、本が売れ続けるのです。また英会話学校も繁栄し続けます(もう出稼ぎ英語ネイティブ達のカモにされるのはやめよう。彼・彼女達は本国ではフツーのただの人なのに、日本に来たとたん先生としてあがめたてられるのです)。
 本物は時の経過を経て生き残ります。ジャンクブックは、1ヵ月後には書店から姿を消しています。書店の入り口には、新刊コーナーが必ずありますが、それに代わって「ロングセラー・コーナー」を設けて欲しいと思います。私たちは、「新」とつくものに、なんとなく魅力を感じますが、実は新しいものは、すぐに古くなって役に立たなくなるということを意味します。もう、ジャンクブックにお金と時間を費やすのは止めましょう。
 という菅原も、この事実に気づくまでに随分とお金と時間を無駄にしました。やっぱり人間は自分で失敗しなくちゃ分からないんだよね。そして、菅原はこれまでに多くのジャンク原稿を書いてきたことを、今とっても恥ずかしく思っています。