同期化する世界では、差異こそが価値を生み出す

 先週末は広島と京都で開催された2つの学会に出席してきました。普段は人の話を聞くよりは話すことの方が多いので、一日中椅子に座って話しを聞くというのは滅多にありません。慣れないことにもかかわらず、お尻が痛くなることもなく、とても多くのことを学んだ有意義な時間でした。自分の研究報告に対して役立つコメントを沢山いただいたことに加えて、国際ビジネスの第一線で活躍している方々のお話から多くのことを学べたからです。移動の多いハードスケジュールで帰宅は夜11時を過ぎましたが、充実感に満たされていて、池袋の駅で思わず妻に3000円の花束も買ったくらいです(お土産は買わない主義ですが、今回は花の他にもいろいろ買いました)。
 そこで学んだこと、考えたことは3つ(「ポイントは3つにまとめる」という原則がありましたよね)。第一に、「世界は同期化しており、全世界で同時に同じものをほしがる」ということです。これは、30年以上にわたって海外事業部門で活躍されたパナソニックの方がおっしゃっていたことで、かつては一つの製品が世界の各国に投入されるまでにはタイムラグがあって、順番に他の国・地域で発売されていったが、現在は世界同時であるということです。
 第二は、日本中どこも同じでつまらない、ということです。今回3日間で、名古屋、広島、草津、京都を訪れましたが、どこの駅も同じような作り。新しくきれいなビルが建ち並んでいますが、差がないのでちっとも面白くありません。お土産も、ラベルさえ張り替えれば中身は同じって感じです。ホテルは、きれいで快適なんだけど、どこも似たりよったりで、特徴がない。
 第三は、どこにいっても人、人、人で、ふだん秩父の田舎暮らしをしている菅原には息がつまりそうになります。そんな菅原の目に、多くの人たちが、みんな同じように見えてしまうのです。同じようなダークスーツを着て無表情なビジネスパーソンたち。若者たちは同じような流行の服に髪型。人を観察していても、驚きがなく面白くありません。 
 製品、サービス、街、人、すべてが同じようになり、同期化しています。もちろん、このメリットは沢山あります。どこに行っても同じ製品やサービスが手に入り不便を感じないということ。どこに行っても不慣れじゃないので、緊張する必要もなく疲れないということ。人と同じようにしていれば、とりあえず困らないということ。
 一方、「異質なものとの出会いが創造につながる」という原則からすると、同期化は創造の機会を減らすでしょう。同期化する世界だからこそ、他と違うということが、とても大切だと思います。ビジネスの世界でも差異こそが利益の源泉です。菅原は、意図的に差異を作り出そうといつも考えています。それは、別に気をてらっているわけではなく、目立ちたいからでもありません。挑戦することを常に自分に課し、新しい価値を生み出そうとしているからです。そんな菅原は「変人」と呼ばれている、と昨日ある先生から教えてもらい、そうか自分は変人なのかと初めて知りました。 (総文字数、1200字)