シリコンバレーの競争には勝てない日本人、だけど他に道がある

 世界中から人、金、エネルギーを引き付けているシリコンバレー。このような場所は他にはなく、なぜここだったのか、なぜ他に同じような場所がないのかという疑問が、どうしても解けません
 この素晴らしい天候は、確かに一要因でしょう。こう毎日、快晴だと、くよくよしていてもしょうがない、失敗したら、また次をやってみようという気分におのずとなってきます。天気が良いと、じっとしていられません。何かをやりたくなります。おのずと楽観的になり、挑戦しようという気持ちになります。
 シリコンバレーの人々は、「イノベーション」が大好き。うまくいかなくても、次から次へとrapid(迅速)に試していくのです。とにかくやってみる。「前例がない」、「誰もやってない」という表現は、ここには存在しないのです。仮にあったとしても、「だからこそ、やってみよう」ということになるでしょう。
 そういう人たちが集まってしのぎを削っているのですから、それは、それは過酷な競争が繰り広げられています。時間との勝負です。3か月遅れたら、おしまいだと、先日知り合った起業家が言っていました。彼は、朝早くから夜遅くまで、さらに土日も関係なく働くとのこと。日曜日の午後は、ちょうどアジアの月曜日午前なので、取引先との会議にあてるのに好都合だそうです。夫婦共働きで子供のお世話は、おじいちゃん、おばあちゃんにまかせっきりです。
 「なんでそんなに働くのか」との質問に、「ambition(野心)」との返答が返ってきました。かたや、「ambition(野心)」を口にする日本人と出会ったことがありません。だから日本人は、シリコンバレーでは勝てないのです。そのかわり、人の役に立ちたい、世界を良くしたいという「志」をもった日本の若者がたくさん出てきていますので、シリコンバレーとは別の世界で活躍できるでしょう。シリコンバレーだけが、すべてじゃないからね。